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1か月。 [日常]

台風21号が上陸してから1か月が経とうとしている。


地元三重でも被害が多く、また実家は被災した。


災害はどこでも起こりうることだと頭ではわかっていたが


実際、その状況を目の当たりにするとただただ呆然とするばかりだった。


あの日の深夜、母からの電話。


今まで聞いたことのないような恐怖と切迫した声。


そしてかすかに聞こえる


チャポン、チャポン


という水音。


胸の奥のザワザワとドクドク。


とにかく心の乱れが伝わらないように


ゆっくり、極力穏やかに


状況を確認し、


外に出られる状況ではなかったのでとにかく高いところへ


避難するように伝えるのが精いっぱいだった。


この電話の2時間ほど前、


妙な胸騒ぎがして、電話をし、


万一に備えて貴重品や避難の準備をしておくように


伝えていたので、そのことも功を奏したようだ。



あれから1か月。


定期的に実家へ戻る中、


街中のグレーの世界、粗大ごみや異臭、物々しい雰囲気は日増しに解消されつつあるが、


まだまだ被害の修復には時間がかかる。



一歩ずつ一歩ずつ、やれることを積み重ねて行って


日常生活に戻れるように、毎日笑顔で過ごしていきたい。



何はともあれ、命が助かったことに感謝。




この台風で被害に遭われた方々、また昨今の自然災害で被災された皆様の


心と身体の健康を切に願います。


2017.11.21空に還る.jpg


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 [記憶]

その人は店に入ってきたときから汗をかいていた。


まるでキノコが朝露で濡れたような風貌だ。


小柄な30代後半くらいのその男性は


店員が持ってきた水をグイッと飲みこむ。


ネクタイを少し緩め、改めてキュッと結び直し、書類に目を落とす。


小刻みに揺れる膝。注文はせず、誰かを待っているようだ。

 


5分ほどしてから


ピカリと光る頭のメガネを掛けた50代前半くらいの男性が店に入ってきた。


「今日は御足労いただきましてありがとうございます。」


かしこまった挨拶をしたキノコ男性はピカリ頭の男性に深々と挨拶をした。


その挨拶に反応することなく、ピカリ頭の男性は奥の席に座った。


「注文はどうされますか?ここのケーキはとても評判がいいらしくていつも家族と来るときは


子どもが注文するんですよ」


ピカリ頭の男性はその言葉たちは存在していないように


「アイスコーヒー」


とだけ言った。



その後の二人の声は小さくなったが、会話の端々から聞こえてくる言葉たちは


何やら意味ありげで


とりあえず、キノコ男性が仕事をミスし、上司的立場のピカリ頭男性に迷惑をかけたようだった。


キノコ男性はまだ暑いのか、また別物の汗なのか、


ハンカチで額を拭き拭き、アイスコーヒーのグラスについた水滴を見つめている。


どれだけの時間が経たったろうか。


ピカリ頭のその男性は、すっくと立ち上がった。


キノコ男性は深々と頭を下げピカリ頭の男性を見送った。


そしてキノコ男性は一度も口をつけなかったアイスコーヒーを


グイグイッと飲み込み、店を後にした。


私はウィンナーコーヒーを一口飲み、自分の喉の渇きに初めて気が付いた。


改めて、もう一度口に含み、読みかけの本に目を落とした。


2017.10.04.jpg




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バベルの塔 [記憶]

地球上にいくつもの国が存在することを知ったとき、


私の頭はくにゃくにゃに混乱した。


それまでの私は、自分が住んでる「町」が世界のすべてだった。


それが自分が住んでる町や県は「日本」の中の一部分にすぎず


日本もまた「世界」の一部分であることに衝撃が走った。


言葉や宗教、姿形など異なることにも髪の毛が逆立つほど驚いた。


と、同時になぜ国境が存在するのだろう?とわからなかった。


小学生にあがる前くらいの頃の私の記憶。


こんな記憶を呼び覚ましたのは


先日行った「バベルの塔」展の影響かな^^;


一人一人みんな違う。


日常はバランスで成り立っている。


2017.09.20.jpg


ブリューゲル 『バベルの塔』展 公式HP→ http://babel2017.jp/

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青天の霹靂 [日常]

引っ越してきたのは去年の春。


身の回りのものから何からそろえるのにとても重宝していたスーパーマーケットが閉店を迎えた。


閉店告知をしてからは、日増しに商品は少なくなり、それとは反比例して値下げ商品目当てに人は増えていく。


ほぼ毎日お世話になっていたので人や店の動向がよくわかる。


そこにはフードコートもあって、平日にはお母さん方の話し合いの場になっていたり、


ご年配の方の休憩場所にもなったり。


休日や夏休みには、学生たちがワイワイ勉強をしていたり。


そんな憩いの場所になっていた。


日常の一部がそこにあった。


たかが、近所の店が閉店するくらい。と思っていたけれど


いざ、もうそのお店が無くなってしまうと思うと、秋風とともにひんやりとした空気が


心の隙間に入り込んできて寂しい気持ちになる。


とは言っても、日常は明日も明後日もやってくる。


きっとそこより少し離れたお店で、少し不便しながらも買い物をしているのだろう。


そしていつの間にか違和感もなくなって、日常の一部になっていくのだろう。


「慣れ」も必要だけど、「慣れ」に至るまでの「過程」を忘れたくないなぁと思う。


他のことについても。


2017.09.10.jpg




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白い箱 [ショートショートショート]

『学校で僕をエイって押してくるケンちゃんの手じゃないみたいだ』


塾の帰り、いつもの電車より一本乗り遅れた僕は、ケンちゃんを偶然見かけた。


ケンちゃんは、「りんごの木」と印字された白い箱を両手で抱えている。


電車がガタンと揺れるたびに 足はブラリと揺れるけど


『この箱だけは絶対に揺らさないぞ』


と指先から声が聞こえてくる。


箱の中はたぶんショートケーキ。


誰と食べるのか わからないけれど


白い箱を包み込むその手は、とてもやわらかくて優しい。


ケンちゃんの視線がふと前を向く。


『ま、まずい!』


思わず顔を背ける。


ケンちゃんは再び白い箱に視線を戻した。


僕の知らないケンちゃんの世界。


 その白い箱が、少し羨ましかった。  


2017.06.21.jpg 


word&photo by.mari 


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